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2003年3月

2003/03/01

カマボコ板を削った船に乗り込んで

E気配コレクション 030301

この文書は、以前に友人が係わっていた「健然」というサイトに書いたものの再録です。

先月号では「ドラゴンクエスト」のことなんかを書きました。今月も、そのあたりから話を続けてみたいと思います。

最近プレステ2を手に入れました。ひゃっほーです。で、いくつかゲームを買ってやってみたのですが、ひゃっほーのわりにはどうも、うわあっ!おもしろいっ!という感じになりません。初代のファミコン以来、ゲーム機には全く手を出していなかったので、その間のことはわからないんですけど、とにかく初代ファミコンで熱中した「ドラクエ」の1や2ほどに没入できる世界ではないんです。

それは、あなた、年のせいじゃあないんですか

Img_030301a ……という声が聞こえてくるようです。たしかにそれもあるんだろうとは思うけど、どうも他に、もっと決定的な違いがあるような気がしてなりません。それは、ひょっとしたら、プレステ2のグラフィックがリアルすぎるということや、画面の動きが緻密すぎるということに関係しているのかもしれません。
初期の「ドラクエ」なんて、グラフィックは実に稚拙だったように思います。子供が描いた絵地図のような荒野をチコチコとぶきっちょに歩き回っては、ジャーンジャラリラリーンという怪しげな音とともに現れたマンガそのものの敵と、つったったままヤーッとか言って闘うんですもん。でも、いや、それだからこそ想像力が大きく拡がる余地があったようです。

先月も書きましたけど、東豊中の家の裏山にあったこぎたない泥沼が、探検ごっこをする子供にとっては「神秘の泉」に見えるように、まあ、今から思えばへたくそに描かれたドラクエワールドの辺境の街で、ラムドール城(…でしたっけ?ドラクエの中心の城下町は)の栄華をしのぶといった、高度な?お遊びを楽しむこともできたわけです。昔のドラクエでは。
どうもバーチャルリアリティというものは、リアルになればなるほど、ウソくさくなるような気がしてなりません。バーチャルなリアリズムなんかよりも

人間の想像力のほうがぜったいにえらい!

なにしろ、ラジオを聴いていて、頭の中に映像を思い浮かべることもできれば、白黒映画で深い空の青さを感じることもできれば、綺麗な服を身につけた女性を見ていて、頭の中に……ちょっとこれは違うようですけど。とにかく眼前にリアルに見えるものよりも、頭の中で想像したもののほうが、だいたいにおいて、より美しく、よりチャーミングだとは思いませんか。

話は変わりますが……
僕は「地図」が異様なくらい好きな子供でした。よーするに自閉症気味のガキだったんですけどね。中でも国土地理院のだす5万分の1の地図が最高でした。これに見入っていると、2時間や3時間はすぐにたってしまいます。5万分の1の地図は、決してへたくそに描かれているわけではないけれども、ずいぶん「抽象的」な世界です。その中で、あっちこっち探検したり、山の反対側にいる敵と戦争をしたり、深い谷間に身を潜めたり、平地から急に立ち上がる断崖をよじ登ったり、両側に山が迫った川の上を低高度で滑空したりして遊ぶわけ。当時は地図の中に浸りきって、ほんとにワクワクする世界を体験できたんです。
これは、僕が中学のころの話。もっと小さい頃には、そうそう、こんな遊びもありましたよね。

寝室に無造作にひかれた掛けふとんを海にみたてて

カマボコ板を削った船で荒波に乗り出すんです。大洋のまっただ中で恐ろしい嵐に襲われた気分を満喫しながら、気の遠くなるほど大きな波をひとつひとつ乗り越えて航海を続けます。今だからわかるけど、これって、よほど豊かな羽のついた想像力がなければ、楽しめる世界じゃあないですよね。「なんや、単なるフトンの上のカマボコ板やんか!」で、完全にぶっこわれてしまう世界ですもんね。ちょっと付け加えておきますけど、これは決して、僕の想像力の豊かさを自慢してるわけではないんです。僕の子供時代には、左隣のタケシも、右隣のターたんも、横丁の突き当たりにある家のキヨシもカヨちゃんも、みんなおんなじように遊んでいたんですから。

今の子どもたちも合体ロボみたいなフィギュアを使って、それなりに想像力を働かせて遊んでいるようです。でも、やっぱりリアルで精緻な超合金の合体ロボと、カマボコ板を削っただけの粗末な船の違いのぶんだけ

僕たちの想像力のほうが大きく飛翔している

のではないだろうか。などと……
だから、今のガキどもに対して、僕たちは「ガキ力」(「がきか」ではなくて「がきりょく」です)でも負けてないぞ!なんて妙なところで大人気のない勝利宣言などをしてみたりもしたくなるわけです。
しかし、これはこれで、今の子どもたちのことを考えると、すごく大きな問題だとは思うんですけど………。

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