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2003年9月

2003/09/01

自閉もけっこうきもちE!

E気配コレクション 030901

この文書は、以前に友人が係わっていた「健然」というサイトに書いたものの再録です。

P1000169_s 今回こそお待ちかね?の「でかいそかい(疎開)」……なんか安直な語呂合わせみたいですけど……の話を、と思ってたんですけど、どうも考えをまとめるのが難しい。というか、年末からお正月にかけて連日連夜の宴会続きで、脳の細胞が一挙に3億4700万個ほど失われた感じで、なにを考えても考えがまとまらないという、まあ、考えようによってはお気楽ハッピーな状況なのです。
というわけで、何も考えられないので、今回はこれでおしまい!!……

……おしまい!!……

というわけにはいかないでしょうね。せめて宴会は一日おきくらいにしておけばよかったなあ。脳細胞だけではなく肝細胞もずいぶんいかれてしまったみたいですもんね。お正月休みが長すぎるのも考えものですね……などと、ぶつぶつ言いながら、とりあえず書き始めることができました。ここまで書き始められればもうこっちのもの。かな?
単にだらだらと前置きで字数かせぎしてるだけのような気もするんですけど。いつまでも前置きを続けられるものじゃあないですよね。そろそろ主題に入らねば、とは思うんですけど、その主題がなかなか姿を現してくれないのです。困りましたね。
いっそ、前置きだけで通してしまいましょうか。ひょっとすると、前置き、中置き、後置きという画期的な文章スタイルができるかも知れない……わけないですよね。

あっ、そうそう……と、ここでさりげなく何かの話を持ち出して、本日のメインテーマに結びつけて、ドラマチックに盛り上げたいところなんですが、あっ、そうそう……ん?…あっそうそう……しいん……はあ?……。

あっそうそう、お正月に映画見たんですけど、アーノルド・シュワちゃんの「シックスデイ」というやつ。混んでたわりには実につまらなかった。……で、話とぎれる。

あっそうそう、お正月には兵庫県西宮市の母親の家に行ってたんですけど、兄弟が集まってほとんど飲みっぱなしで、実に疲れましたねえ。……で、話とぎれる。

もうそろそろ主題に入らないと怒られるやろな。

こないだ新聞で読んだんですけど……今度は、うまく続けられそうな予感がする……今の中高生って、とにかく自分一人になる状況が耐えられないそうですね。これはずいぶん前から指摘されてきたことのようですけど。だから、一人でいる時でもずっと携帯でメールのやりとりなんかを絶え間なくやって、一人っきりになってしまう状況をごまかしているそうです。
一人っきりでいるって、そんなに耐えられないことなんでしょうかね。
きっと一人っきりという状況になると、考えたくないことを考えてしまうのが怖いんじゃあないでしょうか。友達とあまり意味があるようには思えない会話をだらだらと連ねたり、単なる言葉の反応だけでメールのやりとりをしている間は、自分の自信のなさとか、得体の知れない不安や恐怖心なんかは、少なくとも頭の表面には浮かび上がってきませんからね。
絶え間なく、何かアクションしていること。手帳に人との約束が隙間なく書き込まれていること。ちょっと時間があいたら、なんでもいいからメールのやりとりをできる人が15人以上いること。人と会っているあいだにも、できれば1時間に1本くらいは携帯にメールが入ってくること。……こうやって、自分の時間を人との関係で埋め尽くし、隙間をなくすことで

「ああ、俺の日々はけっこう充実してるなあ」

「わたしって取り残されてるわけじゃあないのね」などと感じ続けていたいわけですね。
こういうのって、そういえば僕の若い頃にも思い当たる節がいっぱいあります。

僕の場合、小学生の時はかなり活発で開放的な性格だったのに、中学から高校の前半にかけては非常に内向的で、どちらかと言えば自閉症気味の少年になってしまいました。とにかく自分の部屋に一人こもって、地図を眺めているのが大好きという典型的な「おたく」です。もっともその頃「おたく」という言葉には、「貴方の家」か「貴方」という以上の意味はありませんでしたけど。友人と話をするのがわずらわしくて、一人で地図の中をさまよい歩いているほうが、ずっとずっと開放的な気分を味わえたのです。前にも書いたけど、国土地理院の5万分の1の地図上で、例えば山から平野に開ける寸前の谷間の集落に立てば、まわりの地形がありありと浮かびたつほど、地図に慣れ親しんでいたんです。

ところが、高校2年の後半くらいになって、こういう状況を続けているのが不安でたまらなくなってきました。人と会うのを避けていたのが、人恋しくなってきた、というのとはちょっと違います。自分の日々が、なにか世の中から遊離してしまっていて、頭の中にいつも微熱みたいなものを感じながら、自分にこもっているのが苦しくなってきたんです。たぶん、人よりはずいぶん遅れて「世の中」の存在が目についてきたんだろうと思います。

こうなると僕の場合、かなり過激になります。

なにしろ5年ほどの「ひきこもり」状態で、人との接点をどう作っていけばいいかというノウハウがありません。そうすると過激なアクションで後先を考えずにつっぱしるしかないわけ。それで僕は「へんなやつ」になりきることに決めました。「へんなやつ」というのは「相当変わってるけどなんかおもろいやつ」という意味です。
髪はもちろんロングヘアにして、格好は首からじゃらじゃらぶらさげた鎖に、真紅のパンタロンなどという、うれし恥ずかしヒッピースタイル。断られても絶対にくじけることのないナンパの方法を編み出して、大阪梅田の「ファンキー」というジャズ喫茶で女の子をひっかけるナンバーワン(なんかホストクラブのにいちゃんみたいですけど)になったり、阪急東通り商店街で覆面をかぶって歩いて、まわりの人があまりにものけぞるので、ヤクザのお兄さんにミョーな連帯感をもたれたり、あげくの果てに何の根拠もないのに「俺はアーティストになるんや!」と宣言して、大学をドロップアウトしたり。……馬鹿みたいですね。……でも、断られても絶対にくじけることのないナンパの方法って、ちょっと知りたいでしょ。これは世に「あかんべマジック」と呼び伝えられたもので、ほんとは誰も呼び伝えてはくれてないんですけど、

その詳細は恥ずかしすぎて今は言えない!

まあ、これらすべてのことを、自分がやりたいから、自分がおもしろいから、自分が気持ちいいからやっていたのではなくて、人との接点を持ち続けていたいから自分を叱咤激励してやっていたような気がするわけです。ナンパするにしても、ちょっとかわいい女の子と見れば、条件反射みたいに後先を考えず、恥ずかしげもなくアプローチしていく「ちょっとアホなやつ」とまわりから見られることで、人との関係に成功している自分を作りたかったからだけなんです。ちなみに「ちょっとアホなやつ」という言葉を広辞苑でひいてみると「ちょっと常識はずれで性格が変だが、つきあっていると、ひょっとしたらおもしろいことがあるかもしれない人間」などとは書いてはいませんけど、まあ、そういう奴のことです。

…ふう、書いてるだけで疲れてくるわ。

書いてるだけで疲れるくらいですから、毎日こういうことを繰り返す日々は、相当に消耗します。それでもいったん得た「ちょっとアホでへんなやつ」という栄えある評価を維持して、僕はひとりっきりとちゃうで、人との関係の中で僕の毎日は充実してるぞ、という幻想を壊さないようにするためには、それを続ける以外に方法がなかったんですね。
僕の場合はけっこう過激なケースかも知れないけど、先ほどお話しした「絶え間ない携帯メールで、絶対に一人っきりにはなりません」君たちと、本質的には違わないように思うんです。なんか、しんどいですよね、実に。こういうのって。

その後、僕は7~8年おきくらいに、ちょっと自閉気味の状態と、かなりハイな外向的状況を交互に繰り返しながら今に至っているわけですが、最近はけっこうそのあたりの折り合いをつけるのがうまくなってきたようです。つまり、人と会っていても、自分ひとりきりでも、どちらも同じように、かなり気持ちよく遊べるようになってきたということなんです。
おとといの晩は「しんすけ」(近所の居酒屋です)で、深夜2時までばか騒ぎをしてすごく楽しかった。今夜は家で一人、ジャックダニエルなんかを飲みながらぼおっとしていたら、しみじみといい気分になってきた。自分の頭の中だけでとりとめもなく会話をしてるみたいなんですけど、不思議に暗くはならない。むしろ明るい赤みのピンクといった気配になる。それでいて、遠い異郷の酒場で一人グラスを傾けているような、少しセンチメンタルな気分がスイートで、すごく悪くないぞ。異郷は遠いに決まってますけどね。

こんな「一人遊び」を楽しめるようになったということは、僕が過激な外向状況と自閉気味状況を繰り返してきたのも、悪くはなかったなと思うわけです。

今の若い子は、自閉気味はずっと自閉気味で、ばかみたいに外向的なやつはずっと馬鹿に、とふたつに分かれてしまってるような気がします。別に、友達と会っていても30分おきに別の友達から携帯メールがはいってくるような奴に「自閉気味」になってみれば、なんてことは言いませんけど

「自閉」をこわがることはないとわかったら

そのうちに、もっといっぱい「気持ちいい」ことが見つかるのではないか……などと、お説教みたいなことを少しばかり垂れたところで、実は、僕はかなりちゃらんぽらんな人間なので、明日になったら、全然違うように考えてるかもしれない、と言い添えて……
おしまいにします。

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